2012年3月20日火曜日

「ふたりはプリキュアMax Heart DVD-BOX vol.2」購入者対象イベント@都内某所 (03/20)


3月20日に、ふたりはプリキュアMax Heartのプロデューサーである鷲尾さん、シリーズディレクターの西尾さん、キャラクターデザインの稲上さんによるトークショー&サイン会に参加してきました。

※このイベントの内容を公開することについて発売元に確認したところ、OKともNGとも言う立場にはありません、との回答を頂きました。とりあえず問題は無いようなので書いてみた次第です。

招待状代わりの葉書に「集合時間(12時30分)前にはお越しにならないようご協力をお願い致します」と記載されていましたが、特に深く気にすることも無く、少し早めに会場へ向かいました。しかし、実際には12時30分前に入場が開始されたため、この言葉を律儀に守ったTOMさん達は整理番号自体は若いにもかかわらず、その番号より遅い入場となってしまったのだそうです。

入場開始後も、席が足りなくて追加の椅子を用意するなど、準備不足の感が否めない印象でした。確かTOMさんが言っていたのですが、九州や東北の人に当選ハガキを送ってはみたものの、どうせ来ないだろうと思っていたのではないかとのこと。確かにそう考えるのは無理ないとは思いますが、発番した整理番号の数だけ席を用意しておいて欲しいものです。もしかしたら、発売元と販売元との間で連携が取れてなかった(会場は販売元でしたが、応募先は発売元でした)のかもしれませんけど。

会場に向かう途中に立ち寄ったコンビニで生駒さんと偶然お会いし、一緒に会場まで行くこと。会場近くには、女性ばかりのすげぇ長い行列ができていて驚きました。少し調べてみましたが、Leadのニューシングル「Wanna Be With You」の発売を記念したトークイベントが夜に開催されていたようです。CD5枚買うと福引ができて、当たるとフォトセッションに参加できたらしいです。うーん、5枚かー、と思ったもののちゃんと5バージョンくらい発売されていたようです。それならまぁ、買っちゃうかもしれませんねw なんでも、トークショーはメンバーがタキシードを着て参加とのことだったので、福引の結果に一喜一憂していたのも無理ないですね。

会場には170人ほどのMHファンが来ていたようです。イベントスペースに入るとき、入口にレイズナさんとアライさんが座っているのを見かけました。もしかしたらエキレビの記事になるのかな?

トークイベントは予定時間より5分遅れで始まりました。進行は司会の女性からの質問に対してお三方が答えていく、という形。

鷲尾さん「(マイクを持って口をパクパク)…あ、入ってますね。大丈夫です、大丈夫ですw」

最初の挨拶からマイクが入ってないフリとか、鷲尾さん最初から飛ばしていましたw これには西尾さんも負けじと、

西尾さん「あ、水飲んでいい?」

と挨拶前にカマしてくれました。西尾さんの話すところは始めて見るけど、鷲尾さんと似てますねw

稲上さん「キャラクターデザインを担当しました、稲上です。本日は宜しくお願いします」

一人真面目な挨拶をする稲上さんを茶化す鷲尾さんと西尾さん。この3人がどーゆー関係なのかがすぐ分かりましたw


「今回DVD-BOXとなった、ふたりはプリキュアMaxHeartの魅力はどんなところだとお考えでしょうか」

鷲尾さん
台詞や仕草など、日常でよくあるよなーと思える細かい仕掛けが一杯詰まっている。何回も見ると、こんなところにこんな仕掛けがあったのかと気付くことができるので、ずっと色褪せない作品として完成している。


映像の仕上がりについては西尾さんや稲上さんにお預けしていたので、完成した作品を見て驚いたり感動した。スタッフサイドの人間がそう思えるということは、視聴者の皆さんにも同じように伝わる作品なのかな、と思っている。


西尾さん
今見ると懐かしさがある。無印もMaxHeartもDVD-BOXになったということはとても嬉しく思っている。どうやったら思いを伝えられる話やストーリー、キャラクターができるのかもがいた2年だったし、楽しいことよりも辛いことの方が多かった。その結実とも言える作品を見た皆さんに集まっていただいたり、媒体を持ってもらえていることで、やってきて良かったと思える。


実を言うと、MaxHartが終わった後に体調をガタッと崩してしまい、大変だった。この作品には元気や勇気を貰って、何度も励まされた。そういったことを、皆さんと共有していきたい。


稲上さん
この作品を少女モノという感覚でやっていたか分からない。3人にとって初めての少女モノで、しかもアクションが盛り込まれている。戦闘アクションに感じては、ドラゴンボールの監督もいたし、自分も原画で参加していたから経験を活かすことができた。


とにかく日常を大切にしている作品だったなーと思う。何気ない掛け合いが面白くて、どんどんドラマチックに盛り上がって行って戦闘シーンでクライマックスを迎える。男なので、やはり血沸き肉躍るシーンが好き。

(鷲尾さんと西尾さんが「こんな感じ?」と脇をワキワキさせていたw)

団子屋のおばさんのような、何気ないキャラクターが出てくる話を学園生活を交えて描く作品は最近なかったので、ためになったし勉強にもなったシリーズだった。

鷲尾さん「素晴らしい纏めですね。(西尾さんを見て)どうして我々はこう子供なんですかw」


「今日のようなイベントに参加される機会は少ないと思いますが、大勢のファンが来てくれたことについて感想はありますか」

西尾さん「お客さんの感想を言えばいいの?」
客席「違う違うw」

あー、そういえばいつもキャラクターショーなんかにブラックコスでやって来るおっさんが来てたんですけど、お三方の発言にいちいち反応していて煩かったですね。


稲上さん
初めてファンの皆さんに直接お会いしてお礼を言える場をセットしてくれたことに感謝している。DVD-BOXにもしていただいたし、ブックレットも作っていただいた。(ブックレットでは)言えないこともたくさんあったが、自分達にとっても宝物。

鷲尾さん「(全部)言ったでしょ」
稲上さん「ハイ、言いました」

鷲尾さんの、言えない事なんて無いでしょ、っていうフォローが面白かったw

とにかく、この場にいられることを嬉しく思っている。


西尾さん
制作者とユーザという関係ではなく、この作品を共有できているという人達がこれだけいるということに胸の詰まる思いを感じている。社交辞令ではなく、感慨もひとしお。


こちらの伝えようとしたことを見て、抱いた感想や心に入る場所はそれぞれ違うかもしれないが、少なくとも同じことを考えた仲間なんじゃないかと思っている。そんな人たちがこんなに集まってくれて感動している。


西尾さん「これからも一緒に生きていきましょう」
鷲尾さん「最後すっごい人類愛になりましたねw」


鷲尾さん
西尾さんが体調を崩されることが多くて、救急車に同乗したこともある。西尾さんの血圧を測ると、自分の血圧の方が低くて病人は自分の方じゃないかと思ったこともあった。


実のところ、(プリキュアは)頑なに子供向けだと言っていて、皆さん(大人のファン)との交流を絶っていた面がある。しかし、これだけ年数が経過して、ASDXシリーズやDVD-BOXの発売を経て、きちんとファンがいるということを把握しなければならないなと思うようになった。


少し重い話だが、昨年無印のDVD-BOX発売記念イベントが震災の影響で中止となった。楽しみにしてくれていたファンの皆さんには申し訳ないことをしたと思うが、当時の状況ではとても開催できなかったし、かえって迷惑をかけるかもしれないという判断で中止となった。


そういった背景があって、今回MaxHeartのイベントの話が発売元から来て、ぜひやらせてくださいと答えた。本当に思い入れが大きいのは、最初から携わってきているスタッフや最初から見てくれてきた皆さんだと思う。今日は、顔を見ながら話すことができて光栄に思っている。


「プリキュアシリーズの原点を作った皆様ですが、10年という節目目前にしての感想はありますか」

西尾さん
このシリーズ開始時に、10年続けるぞと言っていたのは野沢さんだけだった。10年続けばキュアシルバーが出るという話もしていて、本人は変身する気満々だったw


「ふたりは~」シリーズとして続いたわけではないが、「プリキュア」シリーズとして続いてきた。スタッフが変わって、想いを繋いでいくという方法は当時夢物語でしかなかったが、その思いだけは持っていた。それが積み重なって、(10年継続が)実現しそうになっている。


自分は努力すれば叶うとは思っていない。できないことや叶わない事の方が圧倒的に多いという現実を見据えながら、薄っぺらい余所行きのスローガンを掲げるのではなく、自分の行く先を見つめ直し続けていかないといけないと思っている。


スローガンになってしまいそうな台詞も、この論理で2年間全員で精査して考え直し続け、大事に作ってきた。スタッフ全員のそういった思いや努力の積み重ねの結果、認められてシリーズとして定着したのではないか。そういったスタッフの努力に敬意を表すし、見て下さった皆さんにはありがとうと…ありがとうございますといいたい。


稲上さん
始めた当初は10周年などと考える余裕は無く、1年をやりきるのに精一杯だった。女児向けシリーズで2年続くっていうのは「ホニャララどれみ」みたいだなと思った。


東映アニメーションの小さな部屋で、この3人で打ち合わせを始めたけど毎回こんな感じだった。2人が喋ってる横で自分が書いてる。で、「あ、できた?まだぁー?」って言われていた。これで一年どうなるんだろうと思った。


これはMaxHeartのイベントなので(次のシリーズの話をするのは)申し訳ないが、自分が続けて参加した3年目のSplash☆Starが橋渡しとなって5に繋がり、それからどんどん広がって言った感じがする。


やはり続けるというのは大変なことで、シリーズの都度賛否両論の色々な意見をどうにか消化しながらスタッフが頑張って続けてきた。自分も作画として参加しているが、今頑張っているスタッフや一年目から関わってくれている録音さん、撮影さん、編集さん、記録さん、音響さん、原画や作画監督など、皆で作り上げてきたシリーズ。数えきれないほど大勢の人に感謝する作品だし、そういったつながりができたということが凄い。

稲上さん「なんか、また真面目な感じですいません」
鷲尾さん「大丈夫です、崩しますからw …と言いつつ真面目に話すんですけどね」


鷲尾さん
最初、誰も10年続くとは思ってなくて、とりあえず1年やろうと思っていた。あちこちで話していることだけど、まだ暑かった頃に西尾さんに東映アニメーションの中庭に来てもらって、噴水の横で女児向け作品の監督をお願いした。西尾さんは「僕で言いの?」って言っていたけれど、「西尾さんだからお願いしたい」と口説いた。さっき言ったように自分は中継ぎだと思っていたので、1年後に次の企画が動くまで1年間だけお願いします。とお願いした。


西尾さんから好きにやっていいかと聞かれたので、好きなようにやりましょう。うんと派手にしたいですと答えた。これに対する西尾さんの「上手くいかなかったら、ごめんなさいって謝って逃げよう」という言葉が忘れられない。


この律儀な部分が作品に出ている。なぎさやほのか、志穂と莉奈のセリフにも社会人として恥ずかしくないものが散りばめられている。社会人として色々任されて駄目だったら、ただ逃げるんじゃなくて謝って逃げるという姿勢が大事で、そういった台詞の原点になっているんだと思う。


アニメは全て描かれた絵なので、100%ファンタジーで、リアルな物は無い。日常のセリフ1つ取ってみても、実際に生きている人間が、そこに生きてしゃべっているキャラクターがいると思ってもらうために、キャラクターとして感情が流れているか、動きとしておかしくないか、人らしさが入っているかを考え続けている。一年一年一生懸命考えて、初めて次の年の事を考えることができるということをこのシリーズに学ばせてもらった。


メップルやミップルなどの人の形をしていない者についても同じで、言っていることに対して「ああ、そうだよね」と思える内容を考え続けて初めて、来年の事を考える土俵に立てるんだということを実感した。見てる方達にちゃんと伝わることは何か。自分達が考えていることは何かを常に問い直し続けていくことが必要だと思う。


鷲尾さん「あ。今9年目やってますけど、来年10年目があるなんて誰も一言も言っていませんからねw」
鷲尾さん「来年が続いたら10年目だよなぁーという仮定の話です!先の話は分からないんですよ?」
鷲尾さん「今関係者の方がたくさん来てますから言いますが、そうなったらいいなぁー(↑)って話ですからね!」

実際に10年目が決まっていて、大人の事情で言えないのか本当にまだ決まってないのかは分かりませんが、スポンサーへの宣伝を忘れない鷲尾さんでしたw


「最後に、皆様から〆の言葉をいただきたいと思います」

ここでえっ、もう終わり?と思ったのは俺だけではないはず。なんせ、まだ30分くらいしか話していただいてませんでしたので。


稲上さん
早苗おばあちゃんの言葉で「希望を持ち続けていれば明日はきっといい日になります」という言葉があって、作っててすごい良い言葉だなと思った。自分もこれからその言葉を胸に頑張っていきたいと思います。今日は有難うございました。


西尾さん
鷲尾君の作中の台詞に対しての思いについての話の中で、スタッフとして色んなことを精査したり考えて来たという話と、今の稲上君のおばあちゃまの話を聞いて思い出したこと。


言葉や台詞が簡単にスローガンになっていってしまう世の中で、正直に努力していることを素直に言える姿勢くらいは大事にしていきたい。「頑張る」という言葉も一人歩きするとスローガンになってしまう。


大きな困難に立ち向かうとき、本人達の頑張る気持ちをスローガンにすることなく、立ち向かわせていくかを考えていかないと(言葉に)取り込まれてしまうような気がする。


日常感はそういうことに宿る気がする。我々は恥ずかしがり屋なので、本編中で頑張るって言葉が出てきたときには「“なるべく”頑張るぞー」、「“とりあえず”立ち上がるぞー」だったなーということを思い出した。


そういう台詞をクソ真面目な顔で言えるよう、なるべくまっすぐに生きていきたい。作品を見て感動してくれた皆さんには、気持ちだけは通じたんじゃないかと思っている。


鷲尾さん
無印42話の台詞ですよね。自分は「なるべく頑張るぞー」って言葉がシリーズ中で一番好きなんだけど、まさかその話を先にされてしまうとは…w


MaxHeartでは、最終話の立ち上がり方が好き。なぎさ(注:本当はほのか)がアサリを買って帰らないといけないことを思い出して、そこから「考えることは自由だ。だから、自由は絶対奪われない」と立ち上がった。あれを見たとき、「こんな立ち上がり方があるのか」と衝撃を受けた。考えてみれば、凄く落ち込んだときや凹んだとき、布団の中に潜っていて立ち上がるのはお腹がすいたな…とか喉が乾いたな…と思ったときだった。そういう瞬間があるはずなのに、映像にするときは何故かみんながそれを忘れてしまう。この作品を通して、そういったことをすくい続けてきた。


こういう事こそが日常感であり、この作品の魅力なのだと思っている。各話の随所にそういった内容が散りばめられているので、そういったところに気を付けて何回も見返してみて欲しい。決して色褪せたりしないはず。

…という鷲尾さんの挨拶でトークパートが終了しました。長めに見ても正味40分ほどしかなかったので、個人的には不満が残りました。お三方のサイン会の時間を含めると仕方ないとは思いますが、せめて質問時間くらいは設けてほしかったです。

お三方の直筆サインを貰う機会や、サインをして貰うときに会話できる機会が滅多にないということは重々承知の上ですが、それでも自分はサイン会が無くてもいいのでお話を聞いていたかったと思います。もっとも、直筆では無いものの、お三方のサイン入りの描き下ろしイラストの色紙を貰えたから、というのもありますが。

いただいたサイン


特製色紙。額に入れて飾りました。


サインをもらった後は、会場の外で話しつつ皆さん出てくるのを待っていました。twitter上でしか知らない方が大勢いらっしゃっていたのでご挨拶したいなーと思ったためです。その甲斐あって、九州から来ていた師子王丸さんやクロヲクさん、仙台から来ていた豆さん、いえろうさんやVip忍者さんなどたくさんの方とご挨拶させていただくことができました。貴重なお話も聞けたし、普段お会いできない方とも会えたし、(トークの長さ以外は)大満足の一日でした。

その後はジョナサンで食事したり(何故か二郎話やMoko'sキッチンの話に花が咲いていた)、アキヨドで額を買ったりおもちゃを冷やかしたり、突発カラオケを経ての秋葉原HUBでの飲みなど、盛りだくさんの1日でもありました。いやー、楽しかったですね。来年は是非Splash☆Star DVD-BOXの発売と、記念イベントの開催をお願いしたいところです。

0 件のコメント:

コメントを投稿